データで見る「家事=女性」の現実
まず、日本全体の家事分担状況を見てみましょう。総務省が発表している「生活時間調査(2021年)」によると、共働き世帯での家事・育児関連時間は次のような結果が出ています。
- 妻:1日あたり約3時間30分
- 夫:1日あたり約47分
つまり、女性は男性の約4倍の時間を家事や育児に費やしているのです。共働きが当たり前になった今でも、家庭の中での負担は圧倒的に女性側が大きいのが分かります。
さらに、内閣府の「男女共同参画白書(2023年)」では、「家事・育児は女性が担うべき」と考える人の割合を調査しています。その結果、50代以上の層ではいまだに40%前後が「妻が中心であるべき」と答えています。若い世代に比べると意識の差は大きく、世代間ギャップが浮き彫りになっています。
また、国立社会保障・人口問題研究所の「結婚と家族形成に関する意識調査(2021年)」では、次のような傾向が出ています。
- 20代男性:「妻が家事を担当するべき」…約15%
- 50代以上男性:「妻が家事を担当するべき」…約35%
年齢が上がるほど「家事は女性の仕事」という固定観念が強いことが明確になりました。つまり、50代女性が婚活で出会う男性は、この価値観を持っている可能性が高いということです。
海外と比較するとどうか
ここで、海外と比較してみましょう。OECDの調査によると、欧米諸国では男性が家事に費やす時間は日本の約2〜3倍にのぼります。たとえばスウェーデンでは、夫婦がほぼ半々で家事を分担しているのに対し、日本は依然として女性偏重が強い状態です。つまり、日本の50代男性の中には「妻がやるもの」という意識が自然に根付いている人が多く、婚活においても意識のズレが生まれやすいのです。
婚活の現場でどう影響する?
結婚相談所や婚活サービスのプロフィールを見ると、「料理が得意」「掃除が好き」といったアピールを書いている女性が多くいます。家庭的な印象を与える一方で、「自分が全部担う」と誤解されてしまうリスクもあるのです。
一方、男性側のプロフィールには「一緒に家事をしたい」「料理を一緒に楽しみたい」と書かれることも増えてきました。特に40代以下の男性は共働き前提で生活を組み立てたいと考える人が多く、意識の変化が感じられます。しかし50代男性では、依然として「家事は女性に任せたい」と考える層が一定数存在しています。そのため、同じ世代同士の婚活では家事に対する価値観の違いが浮き彫りになることも少なくありません。
実際に、相談所のアドバイザーの声として「お見合いではうまくいっても、生活イメージの話になった途端に温度差が出る」というケースが報告されています。特に「仕事から帰ったらごはんができていてほしい」と考える男性と、「共働きなら協力して作りたい」と思う女性の間にはギャップが大きく、そこをすり合わせられないまま交際が進むと不安が募ってしまいます。
50代女性が意識したい家事分担のポイント
では、50代女性が婚活で相手を選ぶとき、あるいは実際にお付き合いが始まったときに意識しておきたいのはどんな点でしょうか。
- 「全部自分でやる」姿勢を見せすぎない
料理や掃除が得意と書くのは良いのですが、「何でもやります」とアピールすると、相手は当然のように任せてしまう可能性があります。 - 協力体制を最初から意識する
「料理は私が中心で、掃除は一緒に」「買い物は分担して」など、具体的なイメージを持って伝えることで、お互いの役割がクリアになります。 - 会話で価値観を確かめる
デートやお見合いの中で「普段どんな家事をしているか」「結婚したらどんな暮らしをしたいか」をさりげなく聞くのがおすすめです。 - シミュレーションしてみる
例えば「平日の夕食は私、休日は一緒に」「洗濯は交代制」「買い物は週末に二人で」など、具体的に想定すると現実的な話し合いがしやすくなります。 - 一緒に快適な生活をつくる姿勢を示す
単に「家事が得意」よりも「協力して暮らしやすい家庭を築きたい」と伝えた方が安心感につながります。
これらの工夫は、相手の価値観を見極めると同時に、女性側の負担を軽くするための大切な準備です。
まとめ──「協力する姿勢」が安心感を生む
調査データからも分かるように、日本ではまだ「家事は女性の仕事」という意識が強く残っています。特に50代以上の男性の中には、その価値観を自然に持っている人も少なくありません。しかし、それを理由に結婚をあきらめる必要はありません。むしろ大切なのは、婚活の中で「家事分担をどう考えるか」を早めに共有し、協力していける相手かどうかを見極めることです。
婚活の場では“家事力”を一方的にアピールするのではなく、「一緒に快適な生活を築く姿勢」を伝える方が、安心できる結婚につながります。50代の婚活は、ただ相手を見つけるだけでなく「これからの生活をどう過ごしたいか」を形にしていく時間でもあります。データや海外との比較を参考にしながら、自分が無理なく続けられる家事スタイルを描き、共に歩んでいけるパートナーを見つけていきましょう。